Sarracenia科の過去・現在そして未来についての見地

　　　　　　　Colin Clayton 　　

　アメリカ大陸にはSarracenia科に分類される３足の食虫植物が分布している。北アメリカにはSarraceniaとDarlingtonia、南アメリカにはHeliamphora が分布している。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

●Darlingtonia

　これは１属１種の植物で、雑種は作れない。また、栽培もかなり難しい部類に入り、上手に育てられる人は少ない。これには以下の３つの理由がある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

１．アメリカでは毎年ディスカウントストアの如いい加減そうなお店で＄２～３でこの植物を販売しているのを目にする事ができる。こうした株は対外が自生地よりさらってきたもので、15cm位のものをプラ鉢に植えこんである。勿論、栽培法について詳しいわけがない。枯れてしまっても「またお一つどうですか」かくして店は儲かり、植物は減る。

２．Darlingtoniaは成長が遅く、成熟するには５～７年程かかる。種子自体は沢山できるが、これがまたなかなか発芽しない

３．Darlingtoniaは希少な植物として法律で保護されており、国外に持ち出すことは許されていない。最近、この植物を保護しようとする組織的な動きが出てきたのは喜ばしいことだ。　

　いろいろと栽培法が試されて大きめの鉢に新鮮な水苔で植えこみ、あまり日を当てない。特に鉢の部分に日を当てないようにすると良い事が解ってきた。　

●Sarracenia　

　８種の原種 alata flava leucophylla minor oreophila psittacina purpureaそして rubraで構成されている。いくつかの亜種が知られており、また、数多くの交配種が作出されている。S.purpureaを親に持つ交配種は一般に大型になり丈夫である。S.rubra は奇麗な黄緑色をしているのが普通だが、赤色を呈する固体も稀にはある。最近は遺伝形質の研究も進められており、結果こうした珍しい固体を選別する事が容易になってきた。熟練のＣＰ栽培家達の努力もあり、私達は驚くほど個性的な

交配種を目にする事ができる様になった。本当に無数の交配種が世界中で作出されている。　　　　　　　　　　　　　　　

　Sarraceniaの栽培は極めて容易で、粗目のピ－トモスで植えるだけだ。水は多くやる必要がある。また冬はしっかり寒くしないといけない。そして充分な日照である。以上の条件を満たせば良いだけである。熱帯地方では彼らが休眠する時期は冷蔵庫なりに入れてやる方法が良いであろう。　

●Heliamphora 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　この夢の様な植物はベネゼエラのギアナ高地テプイの非常に限られた分布をする。生えている場所が場所だけに以前は標本の採集さえままならなかったが、最近はずっと行きやすくなって、研究用の株の採取も行われた。そして得られた苗が大量に増殖されて出回っている。オランダに行った時にはいくつもの苗床におよそ５，０００株以上のHeliamphora が育てられているのを見学する事ができた。また、この植物もいくつかの交配種が作出されている。

　Heliamphora の栽培は容易である。生水苔で植えつけて、毎日たっぷり水をやれば良い。腰水にはしない方が良い。水苔が成長して株を取り巻き湿度を保ってくれる。充分な日照と冷涼な気候とが揃えば、Heliamphora は大きく成長する。冬の寒さも緩やかな変化であれば充分に耐え、０度まで下がっても問題ない。　

　最後に私の栽培経験から少しばかり助言をさせて頂きたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　まずSarraceniaの用土だが、オランダ製のハエトリソウ培養土というピ－トモス配合土を使用すると大変成育が良い。　

　Heliamphora が黄ばんで弱ってきた徴候が出てきたら、すぐに新鮮な水苔で植えてやり、日照を弱くしてやり、水を沢山やる。くれぐれも腰水は禁物だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　Darlingtoniaが黄変してきたら、まず助からない。冷たく新鮮な水が循環する様な環境が理想だ。　　　　　　　　　　　

　以上、少しでも参考になれば幸いである。　　