DarlingtoniaとHeliamphora の夏越しについて

　　　　　　　　石高　和弘　

　　瓶子葉をもつ食虫植物のなかでもDarlingtoniaとHeliamphora は私の大好きな植物で以前より手がけたいと思っておりましたが、Darlingtoniaは２０年ほど前に旭植物園のカタログに載っているのを見つけ、夢中で求めたものの、葉の１枚も出せずに枯死させた苦い経験があり、またHeliamphora は当時幻？の食虫植物でとても入手できるものではなく、私は半ば栽培をあきらめていました。ところが近年Heliamphora がめざましい普及をみせ、Darlingtoniaとともに手軽な栽培法が多数提案され私も是非と入手しました。会員の方々の記事を参考にして自分なりの栽培法を考案しましたので報告いたします。

　私のモット−は放任栽培です。偉そうに言う事でもありませんが、私のもう一つの趣味が魚釣りで、家を空ける事が多く後願いの憂いを断つためです。冷房装置は。。。使います。誰でもコストはかけたくないでしょうが、無冷房はどうしても管理に手間とコツ（主に潅水）がいるので私のモット−に反するために断念しました。冷房ケ−スは新品だと２０万円以上もするのですが、中古だと３万程度で入手できますので、近所のお菓子屋さんなどに頼んで捜してもらうとよいでしょう。

　ちなみに私は知人からタダで中古（大古？）のケ−スをもらいHeliamphora やCephalotusを入れています。ケ−スのサ−モは連続運転にして手をつけずバイメタル式のサ−モをクロ−ズ式に改造（書籍「花アルバム」のネペンテスの記事を参照）したものをケ−スのコンセントに接続し、２５度位に設定していますが、実際には昼夜で２０〜２８度と温度差が出ます。置き場所の関係で朝日が２時間くらいしか当たらないためビタルクスランプにタイマ−をつけて１２時間照射します。また内部はかなり乾燥しますが、ケ−スが小さいため加湿器を入れられないので、プラスティックの水槽に入れ蓋をして腰水にしますが、密封せずに少し感覚を開け、エアレ−ション（金魚のブクブク）をします。これは溶存酸素に富んだ水を与えるとともに、夜間冷房がきれた際、霜が溶け、ケ−ス内が過湿になり葉が濡れるのを防ぐためです。越川先生を始め各氏が述べられていますが、　Heliamphora は夜間、葉を濡らしてはいけません。濡らして育てたものは葉が大きくならず、この辺りがHeliamphora 栽培のコツではないかと思います。毎日の管理ですが、なにもしません。瓶子葉の水がなくならない程度に一週間に一度位潅水してやるだけです（午前中）以上が私のHeliamphora の夏越し法です。お金をかけないのが流行の時代に逆行しているようでバカヤロ−と言われそうですが、冷房ケ−スさえ安く手に入れられれば後は１万円以下しかかかりませんし、電気部品に手を触れずに誰でも簡単に改造できますので、試されてはいかがでしょうか。

　つぎにDarlingtoniaの栽培法ですが、これについては別の器具を用意しました。理由はうちの冷房ケ−スは小さくDarlingtoniaには窮屈なのと、書籍「花アルバム」の中で中川先生の書かれた気化熱冷却法に非常に興味を引れたからです。

　しかしながら、中川先生の方法はコストがかからない反面、腰水でやると成績が悪そうで、１日に２回は潅水しなければならず、私の主義に反するので、別の方法を考えてみました。腰水でうまくできないのは絶えず鉢が濡れているため、気化熱が得られないのではないかと思います。たまたま我が家にはポ−タブル温冷蔵庫（ク−ラ−ボックス）があったのでこれを利用することにしました。まずこの蓋を取りはずし、代わりに発砲スチロ−ルの板を乗せ、鉢とサ−モと温度計とエアレ−ション

のホ−スが入る穴をそれぞれ開けます。サ−モは先に述べたものと同じのを使い２０度以下に設定します。ク−ラ−の保冷力が弱いので、水を張った水槽を入れて水を冷やすようにし、そこに鉢底が浸かるようにセットします。腰水は深くした方が、鉢の温度が下がり好結果が得られます。できれば直接ク−ラ−に水を器具の保護上、お薦めできません。また冷えが悪いようでしたら水槽と冷却版の間に濡れたタオルをはさむと良く冷えます。あとはエアレ−ションをかけ充分な酸素を送り込んでやると良いでしょう。この栽培法も時々水槽の水を足す以外は気が向いたらシリンジを与える程度で３５度以上になる私の栽培上でも問題なく夏越しできそうです。欠点は６号鉢一つ位した入らない事と、防水構造ではないため、雨の当たる場所には置けず、日照不足気味になる事ですが、Darlingtoniaは割合日陰に強いですし、種の維持という面では有効な方法かと思います

　費用はク−ラ−が１万５千円程度で、備品を入れても２万円以内ですのでDarlingtoniaの夏越しでお困りの方はいかがでしょうか？ちなみに私はこれら手抜き栽培のお陰で大好きな魚釣りに専念でき、釣果の方もバッチグ−？です。