イギリスのムシトリスミレ
日下部 勇
イギリスには3種のムシトリスミレが自生しており、そのうちＰ.grandifloraは本土から隔離分布しており、人為的に導入されたとの説もあるが、帰化植物との説はどうも疑わしい。
Ｐ.grandifloraは古くから我が国に導入されたが耐暑性に乏しく持ち込みが困難であった。ところが20余年も前のこと偶々イギリスのデビットテイラー氏から同地産の球芽を送られたところ、花はやや小さかったが、きわめて丈夫で瞬く間に広く栽培されるようになった、今もどこかに残っているのではなかろうか
なんでこんな昔話をしたかといえば、目下イギリス・ノッチンガム大学に留学中の島井弘男氏のご厚意でマンチェスターの東に位置するピーク地方で採集のＰ.grandifloraの種子が研究会に寄贈され、広く配布されることになったからである。その丘陵地帯は標高約６００ｍ、緩やかな谷間の小川に沿った、高さ300mの地点だとのことだ。
なお島井氏からの播種について,「温帯産ムシトリスミレの種子は、何度か凍結しないと発芽しない可能性があります」とのご注意がありました。詳しくは研究会の会誌上に発表されると思いますので、それなどを参考にトライして見てください。